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6.操作条件について
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1)植菌の効果
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生ゴミ中の有機物分解の主役を担っている微生物は、決して特殊な微生物ではない。与えられた条件下で自然に増殖してく れる微生物と考えてよい。通常、生ゴミ処理機では、特に植菌を行わなくとも、2〜3日もすれば分解に必要な微生物は増殖 してくれる。その様子を示したのが図2である。これは実験室で、何も微生物を植菌しない静置型の生ゴミ分解実験を30℃ で行った場合の、微生物数の経時変化を表したものである。図の縦軸の単位は、試料の乾物1g当たり、何個の微生物がいる かを表す数字である。なお、縦軸は対数目盛となっている点に注意されたい。図から明らかなように、微生物の数は、最初1 0の7乗程度であったものが、3日目頃には10の11乗近くに達している。すなわち1万倍にも増えたことになる。図にプ ロットが2種あるのは、2回の実験を行ったからである。図より、実験の再現性はよくとれていることが分かる。こうした実 験を重ねることから、次のような諸事実が明らかにされている。
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図2 生ゴミ分解過程における微生物数の掲示変化
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・植菌しなくても、条件が整っていれば微生物は2〜3日で1万倍近く増える。
・その後は微生物数が飽和して(つまり上限に達して)、数は増えなくなる。
・優占微生物の種類は限られていて、せいぜい数種類である。
・人工的に後から加えた微生物が、そのまま1万倍近く増えて優占株ケースは、きわめて稀である。
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筆者の経験では、生ゴミ処理などの場合、植菌の有無によって有機物の分解速度に大きな差が見られた例はない。なお、生 ゴミなどの常温で散敗しやすい原料では、反応の初期に酸発酵が起こってpHが低下し、分解反応、すなわち好熱性の微生物 の活動が妨げられることがある。このような場合は、酸敗を防いで好熱性菌の活動を促すような種菌の添加は、分解反応の促 進に有効である。しかし多くの場合、特別なものを加えなくとも、処理後の残渣を種菌として返送してやれば、この発酵初期 の活発化の目的はほぼ問題なく達成できる(これは後述のpHと含水率の調達も兼ねている)。
古くから、生ゴミ処理反応を促進するのに有効であるとする種菌・特殊菌・コンポスト菌などと称すものが、しばしば相当 な高価格で市販されている。これらの種菌は、特定の原料を用いて作られた発酵残渣と考えてよく、をの発酵過程で増殖した 各種の微生物が混合物として含まれる。しかしながら、現在までこれからの種菌が特別な効果を示すとの科学的・定量的なデ ータは発表されていない。
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2)含水率とpHの影響
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有機物の酸化分解反応が活発に進行するためには、好気的な条件が維持されなければならないが、そのためには、堆積層内 の水分がある限界値以下に保たれなければならない。その水分の限界値は、固体粒子間の接点に水がしみ出してくるときの含 水率と考えてよい。この値は、原料固体の性状、特にその親水性や粒度によって左右される。安定な反応の進行のためには、 初期含水準を65%程度以下に保つことが望ましい。原料の含水準がこれよりも高い場合には、乾燥した水分調整用材料(前 述のバルキング材:オガクズやモミガラが多い)または処理後の残渣の一部を返送し混合してやる必要がある。もちろん、水 分調整材・残渣の両者を併用する場合も多い。
微生物生存と活動のために水の存在は欠かせないので、層内の水分が少なすぎても微生物は活性を失う。水分30%以下で は生ゴミ分解の反応速度は急速に低下する。したがって、処理槽内の含水準は30〜65%の範囲にあることが望ましいこと になるが、筆書の経験では、含水準は40%前後に維持する方が、臭気の発生が少なく、使用上の清潔感もあり、内容物の粘 度が高まる「団子化」現象も起こりにくいようである。
生ゴミ処理に関与する微生物の活動にとって、固体のpHも重要な因子である。通常、中性ないし弱酸・アルカリ性、すな わちpH6〜8.5程度で、それらの微生物は活発に動く。生ゴミのような有機質廃棄物を嫌気条件下で放置すると、酸発酵 と呼ばれる反応が進行して酢酸などの低級脂肪酸が蓄積し、pH4〜5付近まで低下する。その結果、悪臭を放つだけでなく 、分解反応そのものも阻害されてしまう。このような場合には、反応の開始までに時間がかかる。また反応途中でのpHがあ まりにも低下してしまうと、分解が停止し、単にpHを引き上げるだけでは状態が改善されないケースが多い。
原料のpHがあまりにも低い場合には、消石灰・炭酸カルシュウム等を混合してpH調整を行う必要がある。前述したよう いに、処理後の残渣と原料を混合するだけで、支障なく開始させることができる場合もある。普通の原料であれば、分解反応 の進行に伴い、二酸化炭素の他にタンパク質の分解によってアンモニアも発生し、これらが固相のpHを自然に調整する働き をしてくれることもしばしば見られる。
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3)槽内温度・通気
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生ゴミ処理機の堆積層内の堆積層内温度は、原料有機物の酸化反応による発熱と、堆積層からの放熱のバランスにより決ま る。放熱の要素としては、水分の蒸発熱、通気の昇温堆積層からの熱伝導による熱損失などがある。堆積層の体積が小さけれ ば、層からの熱損失が大きくなる(そのため小型の生ゴミ処装置は、自己発熱で温度を維持するのが難しくなる)大型の装置 では、堆積層内に通気を行わないか、または通気量が少ない場合には、層内部の温度は70℃、時には80℃以上もの高温に 達する。しかし70℃以上もの高温では、微生物の多くはその活性を急速に失ってしまう。先に述べたように、下水汚泥等の コンポスト化の最適温度は55〜65℃の範囲にあると考えてよいが、生ゴミ処理場合には、30〜40℃程度の中温領域で も十分な分快速をが得られる。通常、最適温度を超えると微生物の活性は急速に低下するが、最適温度より低い温度領域での 活性の低下は穏やかだからである。
堆積層内を好気的に保ち、分解反応速度を高く維持するために層内の通気は欠かせないが、層内を好気的に保つことだけが 目的であれば、必要な通気量は極めて僅かですむ。例えば、層下部に通気管を通しておけば、酸化反応による発熱で層内温度 が上昇し、それによって生じる自然対流だけで十分な通気が行われる。しかし、固相の水分を蒸発させ、層内温度を最適に保 つことを目的とした場合には、微生物にとって必要な酸素供給量の10倍以上の通気量が必要となる。この場合、自然対流で は通気量が不足するので、通常、強制通気方式が採用される。最適な通気の条件として、微生物活性を最大に保つ温度(前述 の通り60℃前後が多い。ただし分解しやすい原料では、より低温でも可能)を保つように流量を制御することが望ましい。 すなわちこの場合の通気は、微生物に酸素を供給するよりはむしろ、堆積層内の水分及び温度の制御手段である。具体的な通 気量の目安としては、生ゴミ処理では20〜200L/min/kg−投入生ゴミの範囲にあると考えてよい。なお、この値 は、外気温度・湿度、処理構内温度と排気の湿度等により変化する。通気量の制御は、生ゴミ処理装置の最適運転の要である 。
水分の収支バランスから通気量を計算するときの考え方を、図3に示す。この場合、水分収支は、(入る水分=生ゴミ中の 水分+空気中の水分)=(出る水分=排気中の水分)と表すことができ、排気の温度は30℃で水蒸気を飽和しているとして 、通気量Nは次式で求められる。
N=1/(31.824−H)×X×Y/100(3)
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図3 生ゴミ処理機まわりの水分収支の考え方
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式(3)から分かるように、投入した生ゴミ中の水分をとばすために必要な通気量は、生ゴミの量と含水量、および通気さ れる空気の温度・湿度によって変化する。一例として、含水率75%め生ゴミ1sの水分を1日でとばすための通気量を、入 り口空気の温度と湿度の関数として線図として表したものを図4に示す。上に述べた通気量の目安、20〜200L/min /kg−生ゴミが視覚的に理解されると思う。もちろん、水分をもっと短時間でとばしたい場合には、通気量を増やし、攪拌も十 分に行わなければならない。
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図4 入口空気の温度と湿度から通気量を求める線図
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4)攪拌
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微生物は固体粒子の内部には侵入し難いので、固体粒子の幾何学的な表面積の大きさもまた、反応速度を支配する重要な因 子になる。例えば汚泥などを粒状に成形すると、コンポスト化速度は非常に小さくなる。堆積層の切返しは、層内での均一な 発酵反応の進行を促し、新しい固体表面と菌体の接触の機会を増大させることにより、反応速度を高めるのに有効な役割を果 たす。また、通気を行わないときには、堆積層の切返しの頻度が層内の微生物への酸素供給速度を支配し、反応速度を決定す る。通気が十分な場合には、切返しは1日1〜数回程度で十分な場合が多く、必ずしも機械的な連続攪拌が必要不可欠という わけではない。電力消費を節約するには、攪拌の強度や運転間隔を適当に調整しなければならないが、この条件は、先に述べ たように経験的に決められているケースが多い。
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5)装置の制御
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微生物反応による生ゴミ処理を円滑にすすめるための操作因子としては、1)温度、2)含水準、3)通気量、4)pHな どが考えられる。槽内温度は、槽加熱ヒーターと槽温度及び外気温センサーがあれば制御可能である。有機物分解反応が活発 に進行する場合には、発酵熱の寄与も無視できないが、小型装置では放熱が大きいので冷却まで考える必要が生じるケースは まれで、単にヒーターを切るだけでよい。難しいのは槽内含水率と通気量の制御である。含水率が高い場合には、通気量を増 やして水分の蒸発を促し、含水率が所定の値にまで低下したら通気量をしぼるか通気を停止しなければ、槽内は乾燥しすぎの 状態に陥る。これを制御するには、槽内の含水率を正確にモニターして、換気ファンの制御に連動させるのが最も直接的かつ 効果的である。排気中の湿度センサーを用いる方式をとる場合も見られるが、槽内の含水率を直接的にモニターしたい。この 場合、センサーに求められる条件は、非接触的かつ非サンプリング的に含水率を検出できることであり、その方法をめぐって 数多くの特許が申請されている。筆者らもそうした水分センサーを開発している。pHに関しては、非接触的に推測するする ことは困難であることと、常時の監視は必要ないことから、小型装置ではモニターを考えないことにする。
生ゴミの重量変化を検出するのは、槽の重量を圧力センサーなどでモニターすれば可能であるし、そのような方式による特 許出願例もある。より直接的には、排気中の炭酸ガス濃度を検知すれば、有機物の分解速度を正確にモニターできる。しかし 実験装置ならばともかく、コスト的制約の厳しい小型生ゴミ処理機に搭載するのは困難であろう。
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