| 新聞のお姉さんへ |
|
私は高校卒業後、親の反対を押し切り東京の学校に進学した。自分で学費も生活費も何とかする、と決めてのことだった。大学近くの新聞店でやとってもらい、朝刊・夕刊・集金・勧誘をしながら学校に通っていた。最初の一年は、授業料以外に教科書代や実習費などの出費が続き、生活は苦しかった。 そして、初めての冬を迎えた。午前2時起床、出勤。印刷されたばかりの温かい新聞に、広告を入れて配る。寒さをしのぐため、軍手をはめて服を着込む。首にはタオルを巻いていた。マフラーを買うお金があるなら、大学で使用する参考書を買わなければ・・・・いつもそう思っていた。 やがてクリスマスの日。配達先のポストに、『新聞のお姉さんへ』と書かれた紙とプレゼントが置いてあった。中をあけると赤いマフラーと激励の手紙。胸が熱くなった。知らない土地に一人できて、どんなにつらくても苦しくても絶対に泣かなかった私が、初めて泣いた。 その後、三回冬がやってきたが、赤いマフラーとともに乗り切り、無事卒業した。そのマフラーは、私のお気に入りであり宝物。そして、思い出すたびに心が温かくなる出来事なのである。 優しさのプレゼント |