| 小さくたって乙女 |
|
だいぶ長くなった娘の髪は、麦わら帽子の下でいつも汗だらけ。夏は短いのが一番だからと言い聞かせて、床屋さんへでかけた。見る見るうちに短く切りそろえられ、できあがった髪型はさっぱり! 「似合うよ、夏が終わったらまた伸ばそうね」。そう言うと、男の子のようになった娘はうなずいた。 家に帰って夕食の支度をしていると、珍しく口数が少ない。台所からそっとのぞいてみると、こちらに背を向けて片づけをしている様子。 感心感心!目を細めていると、小さな肩が震えているのに気づいた。 あわてて近づくと、声を殺して泣きながら、宝物入れの中にアクセサリーをしまっていた。 「髪、切りたくなかった?」。そう聞くと、くちゃくちゃな顔でこうつぶやいた。「かみのけみじかいから、もうおかーしゃんのおひざにのれなくなっちゃった・・・」。その言葉は私を苦い思い出いっぱいにさせた。 たった2歳半でお姉ちゃんになった上の子には、随分我慢ばかりさせてきた。あまえさせてあげたいんだけど、下の赤ちゃんのお世話が大変で「待っててね」「あとでね」なんて寂しい言葉ばかりをかけていた。そんななか、上の子との唯一のコミュニケーションが髪を結うひととき。毎朝私の膝にちょこんと座り、ゆっくり髪をとかしながらヘアアクセサリーを選んで結ぶ。 娘にとって、母親を独占できる甘くて大切な時間だったはず。それをあっけなく踏みにじってしまった自分がなさけないよ。 5歳の女の子の胸には、大人が考えられないほどの喜怒哀楽がぎゅっとつまっている。 小さくたって乙女、悲しい思いをさせないように抱きしめていかなくっちゃ。 気づかなかった娘の思い |