| 労働者 |
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いちばん下の息子に,女房が話しかけていた。だからそうっと立ち止まって,裏の網戸ごしに聞き耳を立てた。どうやら仲間の子供たちが,父親の職を自慢したらしい。みんな会社のえらい重役なんだと・・・ そのうちみんなはボブに聞いた。"おまえのパパはどんな仕事だ?"仲間はつぎつぎ質問を浴びせた。ボブは口ごもって目をそらした。 「パパは普通の労働者さ」うちの女房はみんなが帰るまで待ち,息子を家の中に呼んだ。「話しておきたいことがあるのよ,ボブ」女房はそういって息子のえくぼにキスした。「おまえの父さんはふつうの労働者,おまえがみんなに言ったとおりよ。でも,それがどんな仕事をする人か,わかってないようだから,母さんが説明してあげるね」「この大きな国には,たくさんの仕事があり,たくさんの店,たくさんのトラックが暮らしの荷物を動かしているけど,新しい家が建つのを見たなら,いいこと,ボブ。その大きな仕事をやり遂げたのは,ふつうの労働者なの!」「たしかに,重役たちはいいデスクを持って,一日中格好いい。大きな仕事の計画を立てて,部下にメモを回す。でもその大きな夢をかなえるのは,いいこと,ボブ,そんな大仕事をやり遂げるのは,ふつうの労働者なの!」「重役たちが仕事をさぼって一年間休んでも,それでも会社の歯車は回る・・・いままでどおり元気にね。でもパパのような人たちが仕事を捨てたら,その会社はやっていけない。大仕事をやり遂げるのは,ふつうの労働者なの!」 おれは,ぐっとこみ上げてくるものを飲み込み,咳払いしてドアから入った。息子は目を輝かせて床から飛び上がった。おれに抱きつきこう言った。「ねえ,ぼくはパパの息子で本当によかった・・・。だってパパは大の男のひとり,特別な人たち・・・。大きな仕事をやってのける男の中の男だもん!」 -親と子の絆とは- |