| 心の収穫 |
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通信関係のセールスをはじめたばかりのある日,慣れない仕事で思うように契約がとれず,暑さも手伝ってどうせダメだろう.と半ばあきらめ,投げやりな気持ちで寄った会社でのことでした.案の定,邪魔くさそうに, 「ウチはいらないよ.」 の一言でした. あきらめて帰ろうとすると,車のタイヤがパンク!交換しようとスペアを見ると,これも空気があまい・・・.町はずれで,修理工場などないような場所でしたので,力が抜け,ため息をついていると,いつの間にか先ほどの会社の社長さんがそばにきて, 「パンクじゃ困るね.うちのトラック使ってイイよ.」 と,ちょっと離れた修理工場を紹介してくれました. さっきは,けんもほろろで"チクショウ"と思っていた矢先だけに,複雑な心境で胸があつくなりました.工場の人も出かける寸前でしたが,待っていてくれたとのこと.ナント,先ほどの社長さんが,わざわざ電話をしてくれたのでした. "チクショウ"と思った気持ちを心でわび,少しばかりの気持ちを包んで帰ろうとすると,社長さんがニコニコしながら 「困ったときはお互い様.」 と言って受け取らず, 「営業は,大変だね.ウチは役に立てず悪いね.まぁ,お茶でも飲んでいきなよ.」 とすすめてくれたのです.そのときのお茶のおいしかった事,今でも忘れません. その日一日,契約は取れなかったけれど,それ以上の心の収穫があり,大きな契約が取れたような,さわやかな晴れ晴れとした気持ちになりました.人の親切が,こんなにもありがたくうれしく感じたことはありませんでした. |